診断メーカー「140文字で書くお題ったー」からお題をもらって書いたものです。短いのでまとめてあります。
掲載するにあたり字下げ・改行をいれさせてもらってますが、文字数は140字で収まっています。じわじわ増えるかもしれません。

未練たらしい

2018.7.29

 君がまだ起きる前、こっそり君の顔を見つめている。まだ眠っている君は、君なのにとても静かでうつくしくて、早くその蒼い瞳の輝きを私に見せて欲しいと思わせる。
 しかし、時間が合わず何時もそれは叶わない。だからせめて、と思い君の額に口付ける。嗚呼、なんて未練たらしいのだろう。

絶体絶命

2018.7.30

 所謂、「絶体絶命」と云う状況に陥った時が、何度もある。死線を何度も、手前と乗り越えてきた。手前の作戦は、最終的にいつも正しい。それだけが、俺の分かっていることだ。癪だが、認めざるを得ない。掛け値なしで、信用してやるよ。
 だから俺にとって、もう、絶体絶命なんて状況は、あり得ないんだ。

もう一度、恋をしよう

2018.7.31

 今夜、再び君と出逢うことになるだろう。私の止まっていた心臓が、漸く動きだす時が来たようだ。灰色の景色でさえ、君とならば色鮮やかに見えるだろう。君を失ってから、私の中で君の占める割合が多かったこと、思い知ったよ。
 だからもう一度、君と、恋をしよう。

死ぬまでの君を全てください

2018.8.1

 君は、私のもの。骨の髄まで私のもの。君が死ぬまで私のもの。…え?死んだらやっと自由になれるって…?ふふ、戯言は止したまえよ。君は死んでも、私のものだ。亡骸になったとしても愛でてあげる。私が先に死んだとしても地獄の底からきっと、君を見つけ出して、愛してあげる。楽しみにしていて。ね?

幸福な朝

2018.8.2

 朝のにおい。おひさま、焼きたてトースト、香ばしいコーヒー。そして、隣で眠る手前のにおい。起きてから一番に感じるにおい。それを感じながら、今日も朝食を作るため、起きる。朝のにおいが漂う頃、手前の顔が見れるだろう。いつも通りの、幸福な朝。

 朝のにおい。おひさま、焼きたてトースト、香ばしいコーヒー。そして、隣で寝ていた君のにおい。もう抜け殻の布団から感じるにおい。それらを感じながら、今日も起きる。おや、朝のにおいが漂ってきた。君の顔が早く見たい。さぁ、行こう。いつも通りの、幸福な朝。

重なった偶然

2018.8.5

 コンビニに行ったら偶然太宰に会ってしまった。
「げ、太宰」
「やぁ、中也」
 ふと太宰のカゴを見ると、食べたかったアイスが。
「俺もこれ、食べたかったんだ」
「いつもは買わないんだけどね。偶然だよ。一緒に食べよう?」
「いいぜ。偶然そんな気分なんだ」
 お互い、偶然を言い訳にして。

美しい終わり方

2018.8.6

 母なる重力が君を支配している時。ただひとり生きていることを許された存在が、私だ。周りはみんな、無に還ってゆく。その光景をただただ見つめながら、いつも私は思うんだ。この中で死ねたらなんていいだろう、と。死骸すら残らない。きっと、魂さえも。
 それがたったひとつの、うつくしい終わりかた。

吊り橋効果

2019.2.2

「ねぇ、私たちってなんで恋人同士になったんだろうね?」
「……吊り橋効果、じゃねぇか」
「出逢った時に不安や恐怖を強く感じてたんだ?」
「だってあんな目で見つめられたらな。すげぇゾクゾクした」
「ふふ、でも、今は不安や恐怖だけじゃないだろう?」
「なァまた、俺を、その眸で」
 見つめて。

あの日から一番遠い僕ら

2019.2.10

 ねぇ、聞いておくれ。
今現在の君との距離は、あの日から一番遠い。今や敵同士だ。
 でも心の距離は――、これまで培ってきた掛け値ナシの――この、どうしようもない信頼と執着と愛憎は、あの頃とまったく変わっていないよ。
 だからこれからも、想像通りの君と、想像通りの私が存在するだけなんだよ。

先着順

2020.4.12

「……そう、無事に成功したんだね。ご苦労様。じゃ、後は頼むよ。……って中也、何むくれてるの」
「……俺は『僕の犬』なんだろ」
「それがどうかした? やっと認めたの?」
「そう云うんなら、一番最初に俺を褒めろよ。クソ飼い主サマ」
「そうだねぇ。君が一番作戦に貢献したら考えてあげる♡」

わかったか、あほ

2020.4.26

いいか、一度しか云わねェからよぉく聞け。
部屋に勝手に入ってくるのも、ワイン空けられるのも、車爆破されたことも、それらを仕方なく許してやってるのも、手前が大っ嫌いなことも含めて全部、俺が素直になりきれねェからなンだよ。だから結局、俺は手前のことが好きなんだよ。
わかったか、あほ。