twitter診断メーカーネタ。文字数気にしてません。

miaさんには「そうだ、彼に会いに行こう」で始まり、「雨は止んでいた」で終わる物語を書いて欲しいです。できれば6ツイート(840字程度)でお願いします。
#書き出しと終わり
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そうだ、彼に会いに行こう。

2018.6.27

 そうだ、彼に会いに行こう。

 自宅の窓からの景色を見つめながら、太宰はそう思った。真夜中0時。外は雨が降っている。今でも無性に彼に会いたくなる時がある。あの頃のように。
ポートマフィアに居た頃は、お互い気が向いた時に身体を重ねていた。だからといって恋人というわけでもない。1番近い関係に名前をつけるとしたら、そう、セフレになるのだろうか。否、それではあまりにも味気ない。彼との関係を、こんな単純な言葉で表現したくない。それほど「彼」―――中原中也のことは太宰にとって特別と云わざるを得なかった。
 彼と会わなくなってから、身体が疼いて仕方ないのだ。これは予想外だった。まさか自分が中也に会いたくなるだなんて。それだけならまだしも、身体が疼くだなんて。最初のうちは我慢していたのだが、我慢するほど会いたいという思いを酷く自覚させられていることに気づいた。ついに我慢をあきらめて、彼に会いに行こうと決心したのだ。
 仕度をしながら、彼のことを考える。今の時間なら、自宅で寝ている頃だろうか。やり残した仕事があれば、まだ起きているかもしれない。どちらにせよ、彼の部屋に入り込むつもりだ。なんと云われようと、追い出されそうになろうと彼と一緒に一夜を過ごす。それは決定事項だ。あの頃からそうだった。太宰からの要求を、最終的に中也は拒まない。
 傘をさして彼の自宅マンションへ向かう。距離は案外近い。10分程歩けば着く。途中でコンビニに寄った。安物のワインを購入した。アルコールの力を借りた方が、彼が陥落しやすいと思ったからだ。プライドが高い彼には、免罪符が必要なのである。
 マンション前に着いた。はやる気持ちを抑えながらエレベーターに乗り込む。彼に早く会いたい。8階のボタンを押す。
 ドアの前に着くと、インターホンを押すより先に手が動いていた。呼ぶより自分で開けた方が早い。マフィアの時、あまりに不法侵入する太宰にうんざりしてか、合鍵をくれたのだった。ドアはすんなり開いた。
 部屋に入る。肝心の中也は酒に酔ってソファーに背を預けて寝ていた。グラスに残っているワインを口に含み、口付ける。ゆっくりと瞳が開かれ、喉がコクリと動く。飲み込んだのを感じると、ゆっくりと唇を離した。
「……なんのようだ?」
「君に会いに来たんだよ」
「ほんとうか?」
 何を不安がっているのだろうと思って顔をよく見てみると、目許には涙のあとがあった。目も少し腫れているようだ。どうやら泣いていたらしい。
「泣くなんて、君らしくないね。どうしたの?」
「てめぇの、せいだ」
「私の、せい?」
「さみしかった」
 酒に酔っているらしく、今日はやけに素直だ。
「私もね、中也に会いたくて来たんだよ。君に会いたくて、たまらなかった」
「おれも、あいたかったぜ」
 中也の方から抱きついてくる。なんて珍しい。
 ぎゅっと抱き締めて顔を離すと、中也と目が合った。そして、中也が首筋を甘噛みした。了承の合図だ。あの時から変わっていないことに感動すら覚えつつ、了解の印にと中也の首筋にキスマークをつける。
 夜はまだまだこれからだ。すっかり雨は止んでいた。